
この記事は、仏式における通夜の流れ・時間帯について解説する記事です。
「お通夜の流れって実はよく分からないかも…」、そんなあなたに向けて書きました。
お通夜に弔問したことはあるものの、全体の流れや時間帯について知っているかと聞かれると「自信がない…」と答える人がほとんど。
そんな状態から抜け出すために、ある程度の知識を身につけておきましょう。
覚えておくと、お通夜のときに「この人よく分かっていないな」と思われずに済みますよ^^
一般的なお通夜の流れ
まずはじめに押さえておいて欲しいことがあります。
それは、「葬式をはじめとする弔事には、宗派や地域による違いがある」ということ。
なので、これからお伝えする内容は、あくまで「一般論」に過ぎません。
実際にお通夜に弔問する場合、この記事の内容に加えて「喪家の宗派」と「住んでいる地域の特性」も考慮に入れる必要があることを、ご承知おきください。
それでは見ていきましょう。一般的なお通夜の流れは、以下の8ステップです。
ステップ1:会場に着く
葬儀・告別式にかぎらず、お通夜に遅刻するのも失礼な行為に当たります。
開始時間に遅れないよう十分注意してください。
到着時間の目安としては、遅くても「お通夜がはじまる15分前」という認識で行動しましょう。
ステップ2:受付を済ませる

会場についたら、次は受付をしなければいけません。
受付自体は、1時間くらい前から可能なことが多いですが、故人と特別な関係にある場合を除き、そんなに早く受付する必要はありません。
受付では、「芳名帳(=弔問者の名簿)」に名前を書くか名刺を渡すかのどちらかをし、葬儀・告別式に出席しないのであれば、このタイミングで香典を渡します。
なお、この際に述べる「お悔やみの言葉」は必要最低限にとどめることを意識してください。
具体的には、「このたびはご愁傷様でございます」や「このたびは突然のことでございました」といった簡潔な言葉にしましょう。
ステップ3:席に着く
受付を済ませたら、ご遺族や先に来られている弔問客に一礼または控えめに挨拶をします。
弔事の席で長々と話し込むのはタブーとされているので、慎むことを心がけてください。
席に着く時間は、遅くても「儀式がはじまる10分前」を目安にするといいでしょう。
なお、儀式の最中に抜けるのは好ましくないので、着席の前にトイレを済ませておくといいですよ。
MEMO:お通夜の席次(=席順)について
お通夜は葬儀・告別式と違い、正式な儀式ではないので、席順についても厳密な決まりはありません。
とはいっても、普通は祭壇のすぐ近くには僧侶(=お坊さん)、祭壇に向かって右側の奥から「喪主→ご遺族→近親者」というように、故人と関係が深い順に座り、祭壇に向かって左側が知人・友人・会社関係者といった「故人と血縁がない知人」が座ります。
そして「一般の弔問客」は、祭壇の正面の席に先着順で座っていきます。
ただ、この記事の最初にもいいましたが、これはあくまでも一般論です。
会場が狭いときは、喪主・ご遺族・近親者が棺に近い席に座ることさえ守れば、それ以外の方は、その周辺に座るような形にしてもかまいません。
なお、席には「世話役」が案内してくれることもあります。
この場合は案内された席に着くだけなので、「どこに座ればいいんだろう?」と迷うこともありません。
ステップ4:僧侶の入場
諸事情で遅れてくる方を除いて着席し開始時間をむかえると、司会者の開式の言葉をきっかけに通夜の儀式がはじまります。
はじまるとすぐ、故人が成仏できるようお経を読んでくれる僧侶の入場がアナウンスされ、僧侶は、それを受けて祭壇の真正面に座り、長時間の「読経(=お経を読むこと)」に備えます。
ステップ5:僧侶による読経
お通夜の儀式は、このステップ5の読経が中心です。
所要時間は短くても30分くらいで、長い場合は45分くらいのときもあります。
さらに、宗派や地域によっては「法話(=仏教の教えを話すこと)」が続くこともあるため、1時間ちかく同じ姿勢で座りっぱなしということもザラです。
弔問客が多く、次の式次第である「焼香(=香を焚いて拝むこと)」が長時間になってしまいそうなときは、読経が行われている間に、席に着いたまま「回し香炉(=小さい焼香台を使って手渡しで順番に焼香をすること)」をすることもあります。

ステップ6:焼香を行う
回し香炉をしない場合、読経が終わった後に下記の順番で焼香をしていきます。
- 僧侶
- 喪主
- 近親者
- 故人と血縁がない知人
- 一般の弔問客
MEMO:焼香のマナーについて
焼香には、「抹香」または「沈香」によるものと、世間一般で馴染みがある「線香」によるものがあります。
仏式では、お通夜や法要のときは線香を、そして葬儀・告別式のときは抹香を用いるのが一般的です。
知識としてインプットする際は、以下のポイントを押さえるといいでしょう。
- 抹香=正式な儀式の際に用いる
- 沈香=ほとんど用いられない(存在自体を知らない人が多い)
- 線香=日常的に用いる
手順はどちらのやり方も同じですが、座ってするやり方の場合、正座の姿勢のまま前に進んだり後ろに下がったりする点が違います。
立ってする焼香の手順
立ってする焼香の手順は、以下のとおりです。
- 席を立ち、喪主・ご遺族に軽く会釈して霊前へ進みます
- 焼香台の3歩ぐらい手前で遺影に一礼します
- 焼香台の前に進んで、合掌(=両手のひらを胸の位置で合わせること)・礼拝(=拝むこと)をします
- 抹香を、右手の親指・人差し指・中指の3本で少量つまみ、香炉に落とし入れます
- 再び合掌・礼拝します
- そのまま(=前を向いたまま)3歩ほど下がり、喪主・ご遺族の方を向いて目礼します
- 自分の席へ戻ります
参考までに、各宗派の一般的な焼香回数をご覧ください。
焼香回数 浄土真宗本願寺派(西) 通常1回 真宗大谷派(東) 通常2回 浄土宗 通常3回 真言宗 通常3回 日蓮宗 通常3回 融通念仏宗 通常3回 曹洞宗 2回 臨済宗 回数にこだわらない 黄檗宗 回数にこだわらない 天台宗 回数にこだわらない ※ 引用元:あなたの街の葬儀社・八光殿 焼香の仕方
「焼香の仕方」について参考になる動画
ステップ7:喪主の挨拶
焼香がひととおり終わると、僧侶は「これにて通夜の法要を終わります」などといった締めの言葉を述べ、退場します。
すると、喪主から弔問者全員に向けて「本日はお忙しいなかお越しいただきまして、まことにありがとうございました。また、ご丁寧に供物まで頂戴いたしまして恐縮いたしております」といった挨拶があり、続いて故人との生前の親交について感謝が述べられます。
具体的には、「〇〇は生前、本日お集まりの皆様に並々ならぬお世話をしていただき、深く感謝しておりました。親交の深い皆様にご出席いただけたことを本人もさぞ喜んでいることでしょう」といった内容です。
その後、全員ではありませんが、僧侶や弔問客をもてなす席である「通夜ぶるまい」に招待されます。
ステップ8:通夜ぶるまいへの出席
通夜ぶるまいは、通夜が終わってから、喪主・ご遺族が僧侶と弔問客に対して食事やお酒を振るまう席のこと。
通夜の儀式が終わると、喪主・ご遺族から挨拶があり、別室で通夜ぶるまいが行われるのが一般的です。
この通夜ぶるまいに出席できるのは喪主・ご遺族に招待された人のみで、出席するのであれば、「一口でも箸をつける」のがマナーとされています。
MEMO:通夜ぶるまいの基礎知識
一般の弔問客の中には、読経・焼香が終わると帰る人も多くいます。
なので、もし通夜ぶるまいに招待されたとしても、義務感で行動する必要はありません。
そもそもお通夜に弔問すること自体が義務ではないですからね。
なお、通夜ぶるまいの料理は、昔は精進料理のような控えめなものが主流でしたが、最近では「寿司」や「刺し身」など、普段の生活では高価とされている料理も普通に出されます。
お酒も出されますが、宴会ではないので、飲みすぎて騒いだりしないよう注意しなければいけません。
ただ、地域によっては通夜ぶるまいを賑やかに行うところもあり、そういう地域では、「賑やかな方が故人の供養になる」という考えが定着しているようです。
たしかに考え方によっては、悲しみに満ちた雰囲気だけで儀式を終えるより、最後の通夜ぶるまいだけは賑やかに行う方が故人も喜ぶかもしれませんね。
一般的なお通夜の時間帯

お通夜は、かたい言葉でいうと「夜伽」ともいいます。
亡くなられた方のご遺族や親しかった人たちが故人をしのび、夜を通して(=徹夜で)別れを惜しむのが本来の姿です。
ただ最近では、お通夜が文字どおり「夜を通して」営まれることはほとんどなく、「半通夜」といって、夏場はPM7:00ごろから、また冬場はPM6:00ごろから始め、どんなに遅くてもPM9:00〜10:00には終了するのが一般的となっています。

所要時間でいうと2〜3時間くらいです。
まとめ
いかがだったでしょう。
この記事では、お通夜の流れ・時間帯について知りたいあなたに向けて、大事なポイントを押さえたうえで詳しく解説しました。
この記事を読んだことで、「お通夜の流れがよく分からない」という悩みが解消できたとしたら嬉しいです♪
お通夜に弔問するということは、亡くなられた方と何らかの関係(親交)があるということ。
悲しみのなか通夜を営まれているご遺族が不快に思わないよう、この記事の内容を参考に行動してみてくださいね^^
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