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〈「知らない」では済まされません〉

副業で稼げるようになると、気になってくるのが税金のことです。

これから副業を始めようと思っている人にとっては先の話ですが、すでに一定の副業収入がある方にとっては、税金は気がかりなことでしょう。

会社などの福利厚生が整っている職場に勤めている場合、税金は経理担当者が自分の代わりにすべて計算・処理してくれるため、「税金について学ぼう!」という気にならないのが普通です。

そのため税金について無関心の状態で副業を始め、ある程度の金額が稼げるようになってから「税金の計算ってどうするんだろう・・・(汗)」と不安を抱く人が多くいます。

そこで、この記事では「副業の税金計算について絶対に知っておくべきこと」について解説していきます。

①これから副業を始めようと思っている方・②副業を始めてから1度も確定申告をしたことがない方は、わずかな時間お付き合いください。

 副業の税金に関する不安を取り除く2つのポイント

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〈2つのポイントを押さえましょう〉

「副業収入がある場合の税金のことがよく分からない・・・(汗)」、こういった不安を取り除くにはどうすればいいと思いますか?

実はそんなに悩むようなことではありません。たった2つのポイントをしっかり押さえるだけで大丈夫なんですよ。

以下で、1つずつ見ていくことにしましょう。

 ポイント1:税金のことを大まかに理解する

まず1つ目のポイントは「税金のことを大まかに理解する」です。

なぜかというと、税金の基本的なことすら分かっていないと、「自分は申告義務があるのか否か・自分に合った手続きが何なのか・どうやったら簡単なのか」などの見当もつかないから。

今までの人生で学んだことがない税金について学ぶのは気が引けるかもしれませんが、公認会計士や税理士を目指すわけではないので、最低限必要なことを大まかに理解するだけでかまいません。

あまりにも計算が複雑で手に負えないと感じたら、専門家の方にお任せすればいいだけですからね。

 ポイント2:多くの人が自分でやっている手続きを一度やってみる

そして2つ目のポイントが「多くの人が自分でやっている手続きを一度やってみる」です。

確定申告やその他の諸手続きを自分でやっている人は大勢います。あなたにできない理由は、どこにもありません。

ただ注意しなければいけないのが、申告の方法を間違ってしまうと、副業収入が勤め先の経理担当者にバレてしまうことがあるということ。

なので申告手続きは、あせらず確実に行いましょう。

税金の基本的なことと合わせて、手続きについても一定レベルまで学んで損することはありませんよ。

 確定申告の基本的なこと

税金の細かい話や実際の手続のやり方を説明しだすと話しが長くなりすぎるので、この記事では触れません。

その代わり、副業の税金計算が気になる方にとって役立つ「確定申告の基本的なこと」について説明していきます。

 確定申告の目的

まず確定申告という手続きが、どういう目的で運用されているのかを理解しましょう。

会社などの福利厚生が整った職場に努めている場合、毎月もらう給料と年2回支給されるボーナスの額に応じて所得税が自動的に源泉徴収(=天引き)されるため、一人ひとりが税務署に申告・納税する必要は、基本的にはありません。

その理由は、勤め先の会社が税金の計算や徴収、そして納付まで全部代わりにやってくれているからです。

こうした会社側の源泉徴収げんせんちょうしゅう(=天引き)で生じた誤差を、還付かんぷ(=払い過ぎた分の返還)追加納付ついかのうふ(=不足分の支払い)で精算することが、確定申告という手続きの目的です。

要は「払い過ぎたら返ってくるし、足りなかったら払わなければいけない」という当たり前のハナシなんです(※手続きが必要)。

 確定申告が必要な場合とは

会社などの福利厚生が整った職場に勤めている人が「確定申告をしなければいけない場合」というのが存在します。

1月から12月の1年間を通して、以下の条件のいずれかに当てはまる人は、原則として確定申告をしなければいけません。

    1. 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
    2. 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
    3. 2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
      (注) 給与所得の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。
    4. 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
    5. 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
    6. 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
    7. 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
      (注) 給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額には、次の所得は入りません。

      1. 上場株式等の配当や少額配当などで確定申告をしないことを選択したもの
      2. 特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの
      3. 特定公社債の利子で確定申告をしないことを選択したもの
      4. 源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債等の利子
      5. 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益
      6. 源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)

※ 引用元:国税庁(ホーム>税について調べる>タックスアンサー>所得税>給与所得者と確定申告>No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人)

上記のように、副業以外のケースでも一定の条件に当てはまれば確定申告が必要になるなど、意外と身近な手続きなのです。

別の角度から見ると、確定申告をした人=副業をしている人ではない・・・・ということになります。

確定申告に対する世間の声(Twitter)

 副業収入が会社にバレてしまう理由

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〈〇〇さんの年収ちょっと多い・・・〉

確定申告には誤差の精算手続きとしての役割のほかに、もう一つ重要な役割があります。

それは、次の年の住民税額を確定する役割です。

「所得税」「住民税」には密接な関係がありますが、納付先が違うので混同しないようにしてください。

具体的にいうと、所得税の納付先は「国(国税庁)」・住民税の納付先は「市区町村(の税務課)」です。

住民税も、基本的には所得税と同様に給料から天引きされているので、普段は特に意識することはないですよね?

 副業収入がある人の給与支給の流れ

住民税の額は、所得の額に基づいて決定されます。

国税庁からあなたの所得に関するデータが市区町村に送られ、住民税の額が決まるという流れです。

次に市区町村からあなたの勤め先に「住民税特別徴収税額通知書」という書面が送られます。

この漢字12文字のムズカシそうな書面は何なのかというと、「〇〇さんの税額が決まりましたので給料から引いてください」ということを意味する市区町村からの通知文書です。

そしてあなたの勤め先は、その「住民税特別徴収税額通知書」に記載されているとおりに、あなたの給料から住民税を天引きします。

ここまでを分かりやすくまとめると、以下の8ステップとなります。

  1. あなたが副業で収入または所得を得た
  2. あなたが国税庁(※実際には「税務署」)に、確定申告をする
  3. 税務署にて、あなたの「所得税の額」が確定する
  4. 税務署が市区町村に、あなたの収入や所得に関するデータを送る
  5. 市区町村にて、あなたの「住民税の額」が確定する
  6. 市区町村があなたの勤め先に、住民税に関するデータを送る
  7. あなたの勤め先が、あなたの給料から「所得税・住民税」を天引きする
  8. 天引きされた給料(いわゆる手取り額)が、あなたに支払われる

以上が「副業収入がある人の給与支給の流れ」になります。

一つ一つを丁寧に見ていくと、何も難しくないですよね?

住民税特別徴収税額通知書が勤め先に届いたあとの話

市区町村からあなたの勤め先に送られる「住民税特別徴収税額通知書」には、具体的な税金の額だけではなく、副業で得た所得(=雑所得)や、本業の勤め先以外から給料をもらっている場合の給料その他の総合計額が記載されています。

仮にあなたの勤め先の経理担当者が、住民税特別徴収税額通知書の隅から隅まで目を向けたとすると、あなたが勤め先の給料以外に収入を得ていることが経理担当者にバレてしまいます。

収入源が複数あること自体は法律違反ではありませんが、会社には就業規則があるのが普通。

この就業規則に副業禁止規定がある場合、ちょっと厄介なんです。

なぜなら、その経理担当者があなたの副業収入のことを上司や役員に報告するかもしれないから。

ただ、一般的に経理担当者が神経質になるのは税金の額です。

普通は従業員一人ひとりの所得については、興味を持ちません。

所得額の違いに気づいたとしても、普通は「あれ、〇〇さんの年収ちょっと多いな・・・」ぐらいのものです。

なぜそう言えるのかというと、「確定申告が必要な場合とは」のところで触れたように、確定申告をするケースというのは、副業収入がある場合だけではない・・・・・・から。

ですので、経理担当者は税金の額以外の項目・・・・・については隅々まで確認しないことが多いと言えます。

 副業収入が会社にバレないようにできる制度

副業をしている側からすると、自分に副業収入があることを知っているのが経理担当者「だけ」だとしても、不安は消えないですよね?

実は、その不安を消し去るためというわけではないのですが、副業収入があることを会社に伝わらないようにすることができる制度があるんです。

それは何かというと「普通徴収」という制度です。

この制度を利用するには副業収入分の税金に関しては、給料からの天引きではなく自ら払わなければいけないのですが、その手間の代わりに会社に副業分の収入がバレないというメリットがあります。

あなたの勤め先が、副業がバレた際にうるさそうなら、この「普通徴収」を利用して、副業収入がバレるのを防ぎましょう。

 終わりに

重要なところに絞ってお伝えしてきましたが、いかがだったでしょう。

本業のほかに派遣やアルバイトによる収入がある場合は別の対応が必要ですが、それ以外の場合「普通徴収」という制度を利用すれば、確定申告をしたことによって副業が会社にバレてしまうことは、まずありません。

そしてその手続も、頭を悩ませるほど難しいものではないのです。

なので副業の税金計算については、「必要な知識を得たうえで落ち着いて確実にやれば大丈夫!」ということで、過度に心配しないでくださいね^^

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