この記事は、香典返しの品物や金額相場について、関連する情報を交えながら解説する記事です。
香典返しに詳しくないあなたに向けて書きました。
香典をいただいたら感謝の気持ちを込めてお返しをするのがマナーですが、意外と知らないのが香典返しの品物や金額相場です。
香典返しにふさわしい品物がある反面、ふさわしくない品物もあります。
また、香典返しの時期や贈り方にも注意しなければいけません。
現時点では「よく分からない…」と思っているかも知れませんが、大丈夫です!
この記事を最後まで読むと、心を込めたお返しが出来るようになりますよ^^
仏式における「香典返し」とは何か?
「香典返し」というのは、お通夜や葬儀の際にお供えいただいた香典へのお返しのことです。
お悔やみいただいた皆さんに対して、①弔事が何事もなく終わったこと・②お礼を伝えること、を兼ねた贈りものでもあります。
昔のように相互扶助の意味合いが強い時代には、いただいた香典にお返しをする必要はなかったのですが、近年は、遺族が故人と親しかった人へのお礼を伝えるものとして、香典返しが定着しています。
しかし他方で、香典や保険金で経済的に余裕が生まれた遺族に対して、「人の死で裕福になるなんて!」といった嫉妬をする人もいます。
このような、いわゆる「葬式太り」は、悪いことをしてお金を得たわけではないと頭で理解できても、うらやましいという感情の上では、納得できない人が一定数いるのが現実。
香典返しには、そんな「嫉妬を受けないために遺族が行う予防策」という意味合いもあるのです。
香典返しと会葬御礼品の違い
「香典返しって葬式のときにもらうハンカチとかお茶のこと?」という疑問を持たれている方が一定数いますが、あれは違います。
葬儀や通夜のときに参列者に渡される物は「会葬御礼品」といい、内容は、だいたい1000円くらいのハンカチやお茶であることが多いです。
この会葬御礼品は、あくまで葬儀や通夜に参列してくださったことへのお礼なので、香典返しとは全く別物と考えてください。
そのため、香典返しの金額には含めずに計算するのが一般的です。
ただ、全国一律のルールやマナーはなく、宗派や地域によって違いがあります。
なので、香典返しをしようと考えているのであれば、事前に相手方の居住地や宗派の慣習を調べておきましょう。
香典返しが不要な4つのケース
「人から何かをもらいっぱなしという訳にはいかない」と誰もが思うものですが、一般的に以下の4つのケースでは香典返しをしないので、注意してください。
- 相手方が香典返しを辞退した場合
- お悔やみの手紙または弔電のみをいただいた場合
- お子さんが小さい家庭で、一家の大黒柱が亡くなった場合
- 社会福祉などに寄付する場合
なお、寄付した場合は、どこにどういう趣旨で寄付したのかを書かなければいけません。
故人の希望に沿ったのであれば、そのことも書き添えるといいでしょう。
香典返しの品物
さて、ここからは香典返しの品物を見ていきましょう。
一般的に、香典返しとして贈られる品物は、以下のようなものです。
- 入浴剤
- 洗剤
- 石鹸
- 海苔
- お茶
- ハンカチ
- タオル
- シーツ
- お菓子
必ずしも上記の品物でなくてもかまいませんが、贈られた側がいつでも使えるように配慮することが大切です。
>> 香典返しは「おこころざし.com」
香典返しのタブーとは
「不祝儀は残らないものが適切」という考えのもと、香典返しには「あまり長持ちしないもの」を贈るのがいいとされています。
このことから、食品にも香典返しの定番となっている品物はたくさんあります。
ただ、肉や魚は宗教・宗派によっては食べられないものがあるためか、昔から「避けるのが無難」と考えられています。
また、お茶をはじめとする飲み物も定番ですが、お酒に関しては、お祝いごとにもよく用いられるため、香典返しには不適切と考える方もいます。
商品券を贈るのは有りなの?

香典返しとして商品券を贈ることは、一般的に失礼にはあたりません。なので、この疑問に対する答えは「有り」ということになります。
しかし、券面に金額が記載されているため、そのことを不快に感じる方が一定数いるということは覚えておきましょう。
香典返しの時期
香典返しは、当日返し・忌明け返し・四十九日の後など、お返しをする時期によって品物や金額が変わることがあります。
また、地域の慣習によっても違うので注意が必要です。
葬儀に参列していただいた方に対しては、早めに「会葬礼状」を出さなければいけませんが、香典返しは会葬礼状ほど急がなくても大丈夫です。
ひととおり落ちついた時期に「お礼状」を添えて贈るのが通例となっていますが、一般的には弔事の区切りとして、忌明け(=四十九日)を迎えた後に贈ることが多いです。
当日返し(=即日返し)とは?
近年においては、葬儀の当日に香典返しをする「当日返し(=即日返し)」というものがあります。
この場合、いただく香典の金額に応じてというわけにはいかないですよね?なので、参列者の皆さんに「同じもの」を用意します。
金額的には、だいたい三千円くらいの品物を選ばれる方が多いようです。
具体的な品物としては、お茶・コーヒー・海苔・ハンドタオルといった「片手で持ち帰ることができる日用品」が挙げられます。
後日返し(=後返し)とは?
上記のように当日返しが風習の地域もありますが、一般的なのは、忌明けの挨拶とともに、または四十九日法要のあとに香典返しをする「後日返し(=後返し)」です。
四十九日法要が終わってから贈るため、「忌明け返し」と呼ばれることもあります。
忌明け返しの名のとおり、忌明けを迎えた後に、挨拶状を添えて香典返しをするというのが正式なやり方です。
具体的な品物としては、お茶やコーヒーといった定番商品はもちろん、最近では「カタログギフト(=ギフトカタログを贈って好きなものを選んでもらう)」も多くなっています。

香典返しの金額相場
香典返しは、いただいた香典金額の半額くらいの品物を贈るのがいいとされており、俗に「半返し」と呼ばれています。
香典の金額が1万円以内のときは半返し、1万円以上のときは、金額に応じて3分の1又は4分の1くらいでも失礼にはあたりません。
一人ひとりの香典金額に応じた品物を探すのは大変なため、香典の金額に関わらず同じ品物を用意する方もいらっしゃいますが、一般的には、いただいた香典の金額に合わせて、3種類の品物を用意します。
そして、これに対応する香典の金額を、①5000円以下・②1万円・③1万円以上の3つにするのです。
つまり、この3つの金額に合わせた品物を事前に選んでおくことで、葬儀が終わるまでに問題なく香典返しを手配できるというわけです。
親族への香典返しについて
親族からの香典は、一般の参列者の皆さんより高いことが多いです。なので、半返しにこだわると、香典返しが大変になってしまいます。
このことから「3分の1又は4分の1くらいでいい」と考えるのが一般的です。
その理由は、親族からの香典は故人への気持ちが一般の参列者より多く込められているという解釈が定着しているからです。
香典金額の高さがどうしても気になる場合は、いただいた金額にこだわらずに「感謝の気持ち」として別のお返しを手配するといいでしょう。
その際に郵送を利用するのであれば、自筆のお礼状を同封すると、より気持ちが伝わりやすいですよ^^
知り合い・会社関係の香典返しについて
知り合い・会社関係の人への香典返しは、【香典返しの金額相場】のところで言ったように、金額別に3種類の品物を用意して、それぞれに合ったお返しの品物を贈るのが一般的です。
ただ、最近では金額に関わらず同じものを手配することが多くなってきているようです。
なお会社の社葬の場合、香典返しの費用は「遺族が」負担します。その理由は、社葬の参列者からいただいた香典は、会社が受け取るのではなく遺族に渡されるから。
会社の名称や〇〇部といった部門の名称で香典をいただいた場合、普通は香典返しをしなくてもかまいません。
ただし、香典をいただいた会社の社長とプライベートでも付き合いがある場合や、特別な関係にある取引先などの場合は、社長個人に香典返しをしたり、忌明けを迎えた後に菓子折りを持参するなどして、別途お礼に伺うといいでしょう。
香典返しの表書き

香典返しの品物や金額相場について理解したら、次は「香典返しの表書き」ですね。
香典返しの場合は、お祝いごとではないので、控えめな「内のし」を用いるのが一般的。
のしの書き方は、故人の宗教・宗派または地域によって違いがあります。
仏式の香典返しにおけるのしの表書きは「志」・「満中陰志」・「忌明志」・「粗供養」などです。
この4つの中で宗教・宗派を問わずに使えるのが「志」ですので、迷った場合はこれを使うようにしましょう。
「なんで志なの?」と思われるかもしれませんが、「志」という漢字には「気持ち」という意味があるため、感謝の気持ちをあらわす字として使われるようになったと理解していただいてかまいません。
のし紙の書き方(表書き=志)について
一般的なのし紙には、以下の「水引(=飾りひも)」のどれかが印刷されています。なお、弔事における水引の種類は「結び切り」を用いるのがしきたりです。
- 黒白(全国的に弔事全般で用いられる)
- 黒銀(全国的に弔事全般で用いられる)
- 黄白(関西や北陸地方の弔事だけで用いられる)
とはいっても水引や蓮の有無は、「葬儀でしか使わない」や「四十九日までしか使わない」など、宗派や地域によって微妙な違いがあります。
なので、間違えないよう葬儀社などに確認しておきましょう。
具体的な書き方としては、上段の真ん中に「志」・下段の真ん中に「〇〇家」と喪家の姓(=名字)を書くか、喪主の姓名(=フルネーム)を書くのが通例です。

表書きの「墨の濃さ」について
不祝儀袋の表書きなど、弔事で何かを書く場面では薄墨を使うのがマナーとされています。
これについては色々な説がありますが、「悲しみの涙で墨が薄くなってしまいました」という気持ちを、相手方に伝えるためというのが一般的な解釈です。
そのため、香典返しにおいても基本的には薄墨を使用して問題ありません。
ただ、特定の宗派や地域によっては、忌明けを迎えた後は通常の黒墨を使用することもあるので、地域の風習などに合わせるといいでしょう。
香典返しに添えるお礼状(=忌明けの挨拶状)の文例
香典返しを送る場合、「お礼状(=挨拶状)」を添えるのが一般的です。
できれば先方に直接うかがって香典返しを渡し、面と向かってお礼を述べたいものですが、それができないことも多いため、お礼状が用いられています。
お礼状の文例としては、下記のようなものが一般的です。なお、お礼状の様式は「縦書き」が正式ですが、Webページ作成の都合で横書きとなっていますことをご了承ください。
謹啓
先般 亡母 〇〇〇〇儀 永眠に際しましては
ご多用中にもかかわらずわざわざご会葬を賜り且つご鄭重なる御厚志を賜り有難く深謝申し上げます
お蔭をもちまして〇月〇日に四十九日法要を滞りなく済ませることができました
つきましては供養の印までに粗品を拝呈いたします
何とぞご受納くださいますようお願い申し上げます
茲に生前のご厚情に感謝申し上げますとともに今後も変わらぬご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上お礼を申し上げるのが本意ではございますが略儀ながら書中を以てご挨拶申し上げます
敬白
平成〇〇年〇〇月〇〇日
喪主 〇〇〇〇
親族一同
香典返しに添えるお礼状(=忌明けの挨拶状)のマナー
- 冒頭に「季節を表わす挨拶文」を入れる必要はありません(入れない方が一般的)。拝啓などの「頭語」と敬具などの「結語」は、両方とも入れるか両方とも無しにします。
- 葬儀や法事が滞りなく終わることを願うという理由から、文を読む際に止まることをあらわす「読点=、」や「句点=。」は使用しません。
- ①忙しい合間をぬって葬儀や告別式に参列していただいたことへのお礼・②香典や供物または供花をいただいたことへのお礼を述べます。
- お礼状はあくまでも「略儀=簡略化したもの」です。本来なら直接お目にかかってお礼を申し上げるべきところ、書面で挨拶することになってしまった旨を伝えます。
- 差出人の名前は必ず入れなければいけません。会社などの組織として送る場合には、「葬儀委員長の姓名(=フルネーム)」を先に書きます。
- 香典返しに添えるお礼状は、ハガキに印刷したもの又はカードに印刷したものを使用します。一般的には「ハガキ」が用いられることが多いですが、会社関係に限っては、「カード」に印刷したうえで封筒に入れるのが通例といえます。
まとめ
いかがだったでしょう。
この記事では、香典返しの品物や金額相場を知りたいあなたに向けて、関連情報を交ぜながら解説しました。
読み終えたことで香典返しの理解が進んだのであれば、執筆者として嬉しいかぎりです♪
葬儀の前後は忙しくて余裕がないとは思いますが、香典をいただいた皆さんとの関係を維持するためにも、お返しは「心を込めて」贈りましょう。
そのためには、品物だけの形式的なお返しにならないよう「お礼状」を添えることが大事です。
忙しいなか、故人のために時間をさいてお悔やみいただいた方が不快に思わないよう、相手の立場に立った行動をとりたいものですね^^
>> 香典返しは「おこころざし.com」
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