
この記事は、仏式における出棺の意味を、マナーなどの関連情報を交えながら解説する記事です。
「出棺のことを知っておきたい」、そんなあなたのために書きました。
こういう知識って学校や職場で習うわけではないので、実はよく分からないですよね?
そんな「お堅いイメージのある知識」が、スッキリ理解できる解説を今からします。
最後まで読むと、社会人として一歩前進できますよ^^
出棺の意味

出棺というのは、告別式のあとに故人の遺体を棺に納め(※「納棺」といいます)、斎場(=葬儀会場)から火葬場へ送り出すことを指し、別名「見送り」とも呼ばれます。
出棺は告別式が行われた斎場で行うため、火葬場に同行しない一般参列者は、この納棺から出棺のときが故人と対面できる最後のタイミングです。
出棺のマナー
葬儀・告別式の日の大まかな流れは、①葬儀→②告別式→③納棺→④出棺→⑤火葬→⑥精進落しの順です。
これらは全て大事なものなので、喪主・ご遺族に失礼のない振る舞いを心がける必要があります。
以下で、出棺のしきたりや順序について見ていきましょう。
納棺:故人との最後の対面
告別式が無事に終わると納棺→出棺をし、その日のうちに火葬すると先ほどいいました。
この際に遺体が納められている棺を火葬場へ運び出しますが、霊柩車に乗せる前に、知人・友人・会社関係者などは故人と最後の対面をし、別れを惜しみます。
具体的には、棺の前に喪主→ご遺族→近親者と「故人と関係が深い順」に並び、特に親しかった知人・友人・会社関係者がこのあとに続きます。
このとき、斎場に供えられている「供花」を、それぞれ一輪ずつ、棺の中の遺体を囲むように敷き詰めていきます。
これが顔を見れる最後のタイミングのため、何か話しかけながら綺麗に飾ってあげましょう。
納棺の際のこの儀式のことを、「献花の儀」といいます。
もともと仏教では切り花が好まれていないため、こういった儀式はありませんでした。
しかし現在では、棺の中を「故人の愛用品(※燃えやすいものに限る)」と故人に供えられた「生花」でいっぱいにすることが定着しています。
釘打ちの儀式とは?
最近では省略されることが多くなりましたが、最後の対面が終わり棺の蓋を閉めたあとは、「釘打ちの儀式」に移ります。
この儀式には、「故人が何事もなく旅立てるよう思いを込める」といった意味があり、必要となる「釘」と「小石」は、葬儀社で用意してくれるのが普通です。
釘打ちの一般的な順番は、以下のとおり。
- 葬儀社の方(※ 打ちやすいように半分まで打ってくれます)
- 喪主
- ご遺族
- 近親者
- 葬儀社の方(※ 完全に封じるために打ってくれます)
打ち込みに使用する小石の意味については、「霊をしずめるため」や「三途の川の小石を意味する」など諸説ありますが、通説といえるほどの見解はありません。
出棺の流れ
釘打ちの儀式が終わると、次は出棺です。葬儀社の方から、「出棺をしますので男性は棺の近くへ集まっていただけますか。6人くらい手伝っていただけると助かります」と促されるでしょう。
この際、男性のご遺族や近親者で足りることがほとんどですが、もし人手が足りなそうであれば、血縁に関係なく手伝ってあげるべきです。
霊柩車に棺を乗せる
運び方としては、男性の遺族を含めて6人くらいで棺を持ち、外で待機している霊柩車の方に向けて移動します。
霊柩車に棺を運んでいるあいだ、喪主は棺の前で位牌を持って立ち、喪主の次に故人と近しいご遺族の方が遺影を持って続きます。
霊柩車に棺を乗せる際の向きについて、「頭の方を前にする」と「足の方を前にする」の2つに意見が別れていますが、この問題について決定版といえるような説はありません。
葬儀社の方が取り仕切ってくれますので、いわれたとおりに運びましょう。
そうすれば、悩むまでもなく「葬家の宗派・地域に合った運び方」になっています。
参列者へのご挨拶
霊柩車に棺が納められると、喪主・遺族は出棺を見送ってくれる参列者の皆さんに向かって横一列に整列します。
そして喪主または親族代表から、「①故人が生前お世話になったこと」・「②葬儀・告別式に参列してくださったこと」について、感謝の気持ちを込めた挨拶をするのがマナーです。
なお、この挨拶は葬儀社の方が代行してくれることもあります。
挨拶の内容としては、「本日はご多忙中にもかかわらず、故〇〇〇〇の葬儀にご参列(ご会葬)いただきまして、誠にありがとうございます。生前に親交のあった皆様にこうしてお見送りいただき、故人もさぞかし喜んでいることと存じます。」といったものが一般的です。
余裕があれば、さらに「故人は日頃から体が健康なことを自慢していたくらいですから、このように突然倒れることは想像しておりませんでした。しかし、〇〇歳という高齢を考えますと、天寿をまっとうしたのではないかとも思っております。皆様には、今後とも変わらぬご厚誼をしていただけますようお願い申し上げます。」と述べ、再び参列(会葬)への謝意を表して挨拶を終えましょう。
遺族側の注意点
参列者への挨拶が述べられているあいだ、遺族は位牌・遺影などを持って整然と横並びになるのが一般的です。
次から次へと儀式が執り行われていきますが、どの儀式も遺族が主体になって行うのがしきたりとなっています。
なので、全体を通してスムーズに進めていくには、「遺族が常に棺のそばにいること」が欠かせません。
1つの儀式が終わるたびに後ろの方へ下がってしまう方がいらっしゃいますが、あれは葬儀全体の遅延を招く行為なので、改めるべきと言えるでしょう。

たった1時間弱のために飛行機で来てくださる方もいますからね。
参列者側の注意点

出棺の儀式は、斎場(=葬儀会場)の外で行われます。
冬場は気温が低いので、見送りのときまでコートを着たまま待っていても大丈夫ですが、出棺の儀式の時だけは、寒くてもコートを脱いで、礼装で見送るのがマナーといえます。
斎場(=葬儀会場)から棺が出棺される際は、参列者はコートを手で持ち、棺の方を向きます。
そして喪主または親族代表からの挨拶が終わると、遺族一同が一礼をしますので、参列者側も、それに応えるように一礼します。
また、霊柩車が火葬場に向けて出発する際にも丁寧に一礼し、車が見えなくなったら合掌します。
斎場から火葬場へ向かう
火葬場には霊柩車を先頭にして向かい、遺族と同行者は数台の車に分かれて後に続きます。
なお、火葬場に向かう移動手段として、葬儀社がマイクロバスを手配してくれていることもありますので、その場合は自家用車を斎場に(=葬儀会場)に置かせておらい、利用するといいでしょう。
一般的に霊柩車には、運転手さん・葬儀社の担当者・喪主・ご遺族の一部の方が乗り、マイクロバスなどのお供車には、故人と関係が深い順に前から座っていきます。
火葬場まで行く人と持ち物の準備がすべて整ったら、火葬場に向けて出発です。
補足:数珠の必要性について

数珠は仏式の行事には欠かせない法具で、別名「念珠」ともいいます。
豆知識として押さえておいてほしいのが「数珠の数は108個である」ということ。
【108個】勘の良いあなたなら、何か気づいたことがあるのではないでしょうか?
そう、数珠の数は「人間の煩悩の数と一緒」なのです。
まあ、54個(=108の半分)や27個(=108の4分の1)を一輪にしたものも用いますが、代表的なのは108個を一輪にした数珠となっています。
数珠の使い方
数珠の使い方は宗派によって多少の違いがありますが、合掌のときに、房が真下に下がるように両手の4本指にかけ、親指で軽く押さえるのが一般的です。
短い数珠の場合は、左手にかけた状態で合掌します。
なお、数珠はお通夜・葬儀・告別式・法要など仏式の弔事全般で持参したほうがいいとされていますが、これは「仏教徒に限った話し」です。
仏教徒じゃないのであれば、無理に合わせて用意する必要はありません。
終わりに
可能な限り噛みくだいてお伝えしましたが、いかがだったでしょう。
この記事では、仏式における出棺の意味を、マナーなどの関連情報を交えながら解説しました。
これで、「出棺のことを知っておきたい」というあなたの気持ちは満たされたはずです。
仏式の葬儀・告別式に参列する際は、ぜひ参考にしてみてくださいね^^
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